ホンダ VTR
かつて「クォーターバイクブーム」というものがありました。その代表とも言えるモデルがヤマハのRZ250、そしてホンダのVT250F。今ではちょっと想像できない事ですが、中型免許を取ったばかりのビギナーが「我も我も」とこの2台を初めとするクォーターバイクを買い、街へ、郊外へと走り回っていた時代でした。かく言う筆者も、初バイクとして購入したのがこのVT250F。しかしその購入理由は、「油圧クラッチで操作がラクそうだから」という、非常にナンパな理由でしたが。
そんなVTの遺伝子を受け継ぎ、ドゥカティに代表される「Vツインスポーツバイク」のブームを受け、1997年、ホンダが満を持して発表したのがこのVTRです。伝統のVツインエンジンを中心に、太い丸パイプを使用したトラス構造のフレーム。当時、ミニモンスターと称されたのも、何となくわかる気がしますね。エンジンもVT以来熟成を重ねてきただけに、低中回転域ではVツインならではのパルス感を、さらに高回転域ではスムーズな伸びを味わえます。クォータークラスは車検もないし、適度なパワー、大きさなどは入門バイクとして最適。かつてほどのブームはもうないかも知れませんが、もっと多くのライダーが選択肢に加えてみても損はないハズです。